治療と対策
●治療の基本●
活動期には「副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)」や免疫抑制剤を使用し、まずは炎症を抑える
治療を行います。この効果は絶大です。しかし、これだけ「よく効く」ということは・・・
(後に「副作用について」で述べますが)
状態が安定し、寛解を取り戻したら、ステロイドの減量を徐々に行っていくことになります。
その後もできるだけ長く、「よい状態」を保てるよう、一定の維持量を長期間続けることになります。
本人および、家族の理解と協力が不可欠になってくるので、治療方針や、薬については、医師より
充分な説明を受けてほしいです。
ある種のストレス(過労、妊娠、出産、手術など)や、直射日光、寒冷などにより、活動性が上昇する
ことがあるため、前もって予定のわかる手術や、出産前後などには予防的にステロイドの一時的な
増量で対処します。(あくまでも予防のため)
<活動の指標>
発熱・関節痛等の臨床症状および、抗DNA抗体価・貧血・白血球数の減少の有無・C3、C4、CH50
等の血清補体価・尿所見・CRPなどから判断します。(ほとんどの医師がこの結果を伝えてくれるので
だんだん、自分でも検査所見を理解できるようになっていきます。)
●活動期の治療●
活動性が活発化し明らかな「活動期」と判断されるものの、臓器障害が著しく低下していない場合、
プレドニゾロン(プレドニン)30mg/日(通常小さな錠剤を6錠)から投与を開始します。(紅斑のみの
場合などは、10〜20mg)さらに腎障害としてネフローゼ症候群を合併した場合、40〜60mg/日。
その時々の症状により判断されるべきものですから、この「量」は、あくまでも目安と考えてください。
要は活動性や、いろいろなことを考慮して、その量を判断するわけですが、どちらにしても通常服用
する量を大幅に超えた量の投与によって、暴れている自分自身をおとなしくさせる効果を期待します。
活動性の低下が認められれば、プレドニンの減量を始めます。原則的には二週間ごとに10%程度の
割合で行います。この時点で体調は嘘のようによくなっていますから(自覚症状)、こののんびりした
減量にかなり「イライラ」することになります。ですが、ここまできたら「まな板の上の鯉!」勝手な減量
だけは絶対にご法度です。(あとで副作用の点で述べます)
●寛解期の治療●
通常はプレドニン5〜10mg/日を長期間続けます。これを維持量といい、先にも述べた通り、
予防のためです。この維持量で、寛解期が長く続けられる場合も、勝手にやめてしまったりせず、
定期的な検査と、この維持量の投薬は、指示通りに行うのが原則です。
●その他の場合●
初期量を(活動期の治療での)投与しても、改善されない場合は「免疫抑制剤」等を併用します。
免疫抑制剤にも深刻な副作用がありますので、医師とよく相談し、納得の治療をお願いすることが
大事だと思います。
最近の治療法として「パルス療法」などが行われる場合が多いようです.これは、1日1000mlの
「メチルプレドニゾロン」を点滴で直接使用するといったものです。先の「大量投与によって暴れる
自分自身をおとなしくさせる」を、もっと「過激」にした手法だと思ってください。メチルプレドニゾロン
1000mlは、プレドニン換算にすると、なんと1250mgという・・・通常の「活動期」の初期量が、
多くとも60mgといったものだと考えると、上記の量は書いてるだけで目まいがしそうな・・・
当然、免疫低下等による対策は万全にしておかなくてはいけません。
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